2008年01月21日

日本的「奥」

 土曜日、日曜日の2日間で、大学入試のセンター試験が各地で一斉に行われました。
 娘もその試験を受けた一人です。

 
 土曜日、家に帰ってくるなり

「国語の試験で、現代文に『近代建築には奥行きがない』とか書いてあった。本当なん?」とか聞いていました。
「そやね〜当たってなくもないね」とちょっと自慢げに言ってしまったのですが、

さっそく次の日新聞を広げ、センター試験の現代文を読んでみますと、「奥の文化」について書かれてありました。


 職業的に興味があったので問題を解くとまではいきませんでしたが、全文を読んで
「なるほど、確かにね」と改めて考えさせられる内容でした。


 要約しますと
 「近代建築は視覚中心の明るい建築ばかりを目指し、空間を定量的に扱える均質空間にしてしまったこと。定量的であるがゆえにそこには空間本来が持つ価値としての役割や場所性を失い、取替え可能な空間をつくることになる。これは空間に広がりはあっても奥行きが得られないことにつながっていく。

 
 この奥行きは西洋では水平方向(空間のそのもののあり方や価値)を指し、日本ではそこに時間軸をも加味してくる。


 家を訪問した際の「奥へどうぞ」は奥の部屋に到達することが目的ではなく、何かもっと心に語りかける、神秘的、儀式的要素を多分に含んでいる。
 
 それは古い神社を訪れればすぐに分かることで、社殿に向かう途中は折れ曲がった参道を通っていくわけであるが、この参道を通ることこそ神社参拝の目的があるという。参道を歩くことにより心が高揚し聖なるものに近づいていけるような感覚になる。その感覚こそが「奥」という。
 つまり「奥」は場所ではなく「そこに至るまでのプロセスの造形化」である。」

 

というような文章が延々と書いていましたが、ワタシもそう思います。

 

これは建築教育に大きく関係してくるのですが、建築を「工科系」と位置づけエンジニアリングの領域を中心に教育することは、このセンター試験の現代文にも書かれていたように、結果的に場所性を喪失した均質空間を造ることを手助けする人材を育てているようにも感じられます。構造をはじめとする技術はとても大事です。
 しかし空間はデジタルで扱うものではなく、そこにもっと「奥行き」を与えていくものですから、数学的組み立てより、もっと文学的な礼儀作法からはじまる日本のアナログ文化をもっと建築教育にも取り入れていくべきではないだろうかと、今回感じた次第です。

ややこしい文章ですみません。

By Ryuわーい(嬉しい顔)



posted by ばばちゃん at 18:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 住まいの雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ん〜、解るような解らんような・・・
難解な文章ですねぇ。近代建築にはただ単に空間を扱っているだけで、趣っていうか(味っていうか)がないってことなんですか?いや、ちょっと違うなぁ〜。プロセスとか時間軸とか入ってくると全然わからんようになってくるんですけど・・・。
神社は先日七五三で行って覚えてますけど、確かに折れ曲がってました。でもあの神社と近代建築を比べるのはどうなのかな?全く別物だと思うのですが。
僕らの実際に関係ある住宅ではどういう意味合いになるのでしょうか?難解な文章を自分なりに解釈したら、馬場さんの建築には「奥」があるんじゃないかなと思うんですが。どうです?
Posted by sakamoto at 2008年01月21日 22:48
はじめまして。

寺社・仏閣に対する畏敬の思いと、自身が願う想いとが相互に
「奥へ」との道程の中で自身が意識し高揚していくのでしょうね。

現建築の設計プラン及びインテリアを見るに、モノトーン重視
空間意識優先で言葉綴りに「心地よさ」を訴える諸兄の多さには、
些かヘキエキとしていましたが、貴社の設計された
「質感のコントラストを楽しむ住まい」を本で見させて頂き、
「こんな家いいなぁ〜っ!」て思いました。
(でも、あの家は凄い高価で私らには手が出ませんけどね)

Posted by パフパフ at 2008年01月22日 09:49
>パフパフさん

はじめまして
コメントありがとうございます。
建築を形作ることは、空間的な操作だけでなく、生きた建築を造ることが課題です。それには、作り手の気持ちや心のあり方が大きく関わってくるようにも思っています。
Posted by Ryu at 2008年01月22日 21:57
>sakamotoさん

参道を歩いて社殿に至るのは、お茶室に入るのと少し似ていますね。路地を通り、にじり口をくぐればそこは身分など関係のない一期一会の世界。
にじり口までの道程は心を清めるために必要なプロセス。そこに意味があります。
Posted by Ryu at 2008年01月22日 22:08
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